研究概要 |
本研究の目的は,小学校と中学校の接続の観点から,比例的推論の進展の契機を探究することである。焦点を当てるのは,子どもの側からの情報であり,特に,比例の式,表,グラフという異なる表現様式のそれぞれに対する子どもの意味づけが,どのように相互に影響しあいながら進んでいるかを捉えていく。そして,得られた結果に基づいて,学校で指導される数学的表記と比例的推論の発達との関わりについてのモデルを洗練し,学習指導に対する提案を行う。 本年度の研究実績は以下の通りである。 1.比例に関わる数学的表現に関して,小学校と中学校の接続の滑らかさを調べる 平成20年度版学習指導要領,および,それに準拠した教科書から,小学校における表,式,グラフ,図(数直線を含む)の指導内容を調べた。 2.次年度以降の調査に向けて,児童・生徒の実態を知る (1)これまでに筆者が携わった幾つかの調査において,小学校「比例」と中学校「比例」の授業での児童・生徒の学習の様子を,小中の接続を視野に入れて考察した。 (2)新たに,グラフに関する児童・生徒の実態をつかむために,調査問題を作成し,小6の児童に対して予備調査を行った。 (3)得られた結果をもとに,現在,変容を調べる視点(ア.変化の見方と対応の見方,イ.どの程度ある関数関係が適用される範囲を意識しているか,ウ.関数の性質についての理解)と,次年度以降の調査の仕方を検討している。
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