小学校国語科入門教材の歴史研究を継続・進展させ、全体の通史と今後の展望を明らかした。 ドイツ国ブラウンシュヴァイク市にあるゲオルクエッカート国際教科書研究所とヴェスターマン出版社古文書館とを訪問調査して、1925-1926年にわたる欧米教科書調査視察旅行で当時の文部省図書監修官・井上赳が見たであろうと推測される欧米各国の入門教科書を調査し、写真撮影によって大量の教科書資料を収集し、井上が欧米の教科書から受けたと証言している資料源を確認検証して、井上の細部の記憶の誤りを訂正するとともに、大筋において正しいことを確認した。 現代のドイツ国で出版されている各種教科書を大手教科書出版社教科書展示販売場とブラウンシュヴァイク市内の書店・古書店を調査して関連図書を購入・収集した。 日本の明治・大正・昭和期に及ぶ関連資料を図書館での文献複写サービスを通して収集し、あわせて、日本の最新の国語教科書入門教材と関連資料・研究書・研究論文を精査し、これまでの知見に対して修正・補充を加えて、より正確でより詳細な歴史を明らかにし、その研究成果を踏まえて、今後の小学校国語科入門教材が進むべき方向を展望した。 この研究成果は、科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書において簡潔にまとめて報告・公表するとともに、今後、国語教育研究に関連する学会の研究大会等における口頭発表や学会機関誌への投稿等によって公表することを継続し、その集大成として最終的には博士論文にまとめる予定である。
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