小学校国語教科書入門教材の歴史について、資料の発掘・整理・比較・考察を通して従来の認識を確認・訂正し、欧米からの影響関係を明らかにして、明治初期から現代にいたるまでのより正確で詳細な変遷を明らかにし、その研究成果を踏まえて今後の方向を展望した。特に日本最初のセンテンスメソッド教科書『小学国語読本』(通称「サクラ読本」)に多大な影響を与えたドイツの『ハンザフィーベル』を徹底調査することによって旧説を訂正するとともに「サクラ読本」出現の歴史的意義を明らかにした。以上を踏まえて、言語生活向上につながる言語活動教材を一層充実させることが、教科書入門教材が今後進むべき方向であることを明らかにした。
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