研究課題/領域番号 |
22530959
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
伊禮 三之 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (00456435)
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キーワード | 高等学校新学習指導要領 / 数学活用 / 2進数で遊ぼう! / 誤り訂正符号理論 / 互除法とピュタゴラス音階 / 油分け算と一次不定方程式 / 数学と人間のかかわり / 数学の社会的有用性 |
研究概要 |
我が国の数学教育では、思考力・判断力・表現力などのいわゆる活用力の育成と、数学に対する否定的態度の改善が大きな課題となっている。本研究では、高等学校の新科目『数学活用』の新設を契機として、申請者が、取り組んできた開発教材群(学校設定科目『楽しい数学』)の内容を、『数学活用』の目標に合わせ、今日的な課題も見据えて再構成することを目的とする。また、今日的な話題についての新しい教材開発にも取り組み、成功的な実践(実験授業)を資料集としてまとめていく。 本年度は、昨年度の「2進数で遊ぼう!」(誤り訂正符号理論を含む)の論文化と、『数学活用』の目標である「数学と人間とのかかわり(についての認識を深める)」ため数学史的な話題と、「数学の社会的有用性についての認識を深める」ための確率・統計分野の教材開発を行った。 まず、[課題学習]を指向した整数分野の「互除法とピュタゴラス音階」「油分け算と一次不定方程式」では、最大公約数を求めるユークリッドの互除法とその起源であるピュタゴラス音階との関連を取り上げ、実際に、ピュタゴラス音階による紙笛を作成し合奏を楽しむ内容で構成し、後者では、和算の油分け算の試行錯誤的な解法を、一次不定方程式に拡張し、互除法による解法へと発展させる内容で構成し、数学と人間とのかかわりについての認識を深められるようにした。「互除法とピュタゴラス音階」は、福井県内の3高校で、「油分け算と一次不定方式」は1高校で実験授業を行い、いずれも、数学の有用性の実感や、数学に対する好意的な態度への変容が確認された。 新しい開発教材として、さまざまな統計データの数値が「1から始まる数が多い」という「ベンフォードの法則」を取り上げ、会計監査への応用など数学の社会的有用性についての認識を深めるような構成とした。内容構成についての課題はあったが好意的な生徒の反応であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新学習指導要領による教育課程実施前のため、高校現場における新科目『数学活用』のための実験授業は、定期考査後に実施するなど、現場の学習進度及び教育課程の都合に左右されることが多い。実際、今年度の実験授業の実施は、12月に1回、1月に1回、3月に3回となった。このため、教材開発はおおむね順調に進展しているが、その授業分析や論文化が遅れ気味であり、全体としてやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成功的な実践(実験授業)の成果を論文としてまとめるとともに、引き続き、学校設定科目「楽しい数学』の開発教材群を、新科目『数学活用』実施に向けての再編成を進めていく。その際、実験授業については、研究協力校との打ち合わせを綿密に行っていく。年度末には、教授過程の一様化を目指し具体的な教授レベルまで視野に入れ作成されたワークシートを含め、3年間の成果を資料集としてまとめる。
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