この研究は、『国語教育誌』という学術雑誌を調査したものである。『国語教育誌』は、1938年1月から1941年9月まで刊行された、国語教育学会の機関誌である。当時の日本文学や日本語研究、あるいは教育学に携わる多くの研究者や教師が執筆している。だが、この時期はファシズムが進行しているだけに、時流に迎合する傾向が強く見られる。それゆえに、この学術雑誌はこれまで検討されたことがなく、忘れられた存在となっていた。国語教育に関係する研究者が、ファシズムが強まる中でどのように苦悩し、過ちを犯したかを知る手がかりとして、この研究は現代的な意義を有する。
|