本研究は,3Dアニメーション制作を教材として実施可能とすることを目的とした基礎研究である。当初は, PBLとピア・サポートを導入した授業実践の一般化を目ざしたが,「協同学習」の機能を取り入れることとした。本年度は,昨年度に,開発し,実施して成果を得たシステムを拡張して,以下のデザインにて中規模(学習者24名)の実験的教育実践活動を実施した。 ①指導者と学習者との対面性重視 ②スクリーン表示の改良 ③マルチモニタリングの画面の改良 その結果,知見として以下の課題が顕在化した。①コンピュータを用いる表現活動指導にて解決されるべき課題として,学習グループの状況の確実な把握,基本的学習課題における操作ミスへの対応,システム上のトラブルに対処するバックアップシステムの準備等が残された。これらは,情報教育に共通する課題だが,美術教育においても汎用の解決策を図るべきは議論が必要である。②尋ねることについては,それが,個別のアプローチの開始であるとともに明らかに主体的なアクションであり,一方的に注入された技術とは理解の内容や深さ,定着の度合いにおいても全く別個のものの獲得につながると考えられるものの,他者の理解を介することが,本当に本来の個別の技術獲得につながるのかという問題が残された。③操作経路の複線化等,多様な個性に応じた技術獲得の方向性を確保する表現技術の精選が必要。 これらの内容は,美術教育学(美術科教育学会誌)第34号に論文として投稿し掲載された。また,島根大学で開催された第35回美術科教育学会全国大会にて,平成25年3月28に口頭にて発表した。
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