パフォーマンス評価は、教える内容は明確であるが子どもたちの活動が乏しい教え込み型の授業と子どもたちの活動プロセスは重視されるが結果としてどのような学力を身に付けさせたのかが明確ではない活動主義の授業、これら二つの社会科授業が陥りやすい陥穽を克服する方法としても意義がある。そこで本研究では、滋賀県の公立学校教諭と共同で小学校社会科の実践におけるパフォーマンス評価とルーブリックについて検討した。まず、小学校6年生「江戸新聞」、小学校3年生「わたしのおすすめのお店」における1クラス分の作品を分析し、パフォーマンス課題やルーブリックのあり方について考察した。次に、作品分析をふまえて小学校3年生の「お店」の実践について分析し、さらに小学校5年生「自動車づくりの工夫」の作品分析とその作品を生み出した実践分析を行った。 作品分析をふまえ、そこから授業を分析していくという方向でのいわば「逆向き設計」の授業研究を試みた。 作品分析を通してパフォーマンス課題とルーブリックのあり方を検討することは重要である。この作業により、パフォーマンス課題をより洗練させ、ルーブリックを明確にすることで、子どもたちの理解を成長させることに確実につながるものである。また、この作業は、子どもたちの理解を成長させるとともに教師による授業づくりを発展につながるものである。このことにより子どもの作品分析をふまえる授業研究は子どもを真ん中に置く授業研究のモデルを提示した。
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