研究課題/領域番号 |
22530978
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小山 正孝 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30186837)
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キーワード | 算数科教育 / 授業研究 / 授業改善 / 現職教育 / 実践的研究 |
研究概要 |
本研究の目的は、小学校が1つの組織として行う長期間の計画的な授業研究を通して、その小学校の個々の教師及び学校全体の算数科授業の質的改善が可能となるような授業改善システムを構築するとともに、教師の算数授業力と児童の算数学力の向上にとって有効で具体的な方策を導出することである。そのため、本年度は、前年度に立案した授業改善システムの妥当性・有効性を検証し、改良することを具体的な目的として、(1)文献解釈的方法による算数科の授業改善システムの研究、(2)長期間の算数科の授業研究による授業改善システムの検討、(3)算数科の授業改善システムの評価、(4)算数科の授業改善システムの改良に取り組んだ。その結果、以下のような大きく3つの研究成果が得られた。 (1)2つの規模の異なる小学校において、数学理解の2軸過程モデル及びそれに基づく算数科の授業構成の原理や方法について理論的・実践的な研修を行うことによって、多くの教師が算数科のカリキュラム分析や教材研究の重要性を認識し、算数科の授業構成の原理と方法を習得することができた。 (2)算数科の授業改善システムを改良し、各学年2クラス以下の小学校においては異学年・教職経験年数の教師のグループを編成して授業研究を行うこと、各学年4クラス以上の小学校においては学年ごとに教師のグループを編成して授業研究を行うことが効果的であるということが確認された。 (3)それぞれの小学校において長期間の計画的な算数科の授業研究を行い、教師の算数教育に対する意識の変容や算数授業力の向上、及び児童の算数学力の向上を調査した結果、改良した授業改善システムが妥当であり、ある程度有効であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで継続的に2つの規模の異なる小学校において長期間の計画的な算数科授業研究に参画し、教師の算数教育に対する意識や算数授業力、及び児童の算数学力の向上につながり得る算数科の授業改善システムがある程度構築できたから。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、2つの規模の異なる小学校(研究協力校)において、本年度に改良された授業改善システムに基づいて再び長期間の計画的な算数科授業研究を行い、それぞれの小学校における教師の算数授業力と児童の算数学力の向上を評価する。それによって、2つの規模の異なる小学校にとって有効な算数科の授業改善システムを比較検討し、学校の個々の教師及び学校全体の算数科授業の質的改善が可能となるような授業改善システムを構築する。
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