研究概要 |
特別支援教育のうち特に特別なニーズを要する子どもを包含した通常学級での家庭科授業に焦点をあて,行動コンサルテーションを用いて,特別支援教育における家庭科教師の現職教育プログラムを開発するため,本年度は次のことを実施した。 1)現職家庭科教師を対象に,これまで継続的に実施してきた実践技法の改善を図る訓練や研修会,具体的には複数の現職家庭科教師(コンサルティ)と研究者(コンサルタント)とが協同して子どもの実状を踏まえた家庭科授業の開発、特別支援教育を専門とする大学教員(コンサルタント)による特別な配慮を要する子どもへの支援方法に関する研修会の実施と開発授業への助言を通して,家庭科教師の取り組みの変容を分析した。その結果,研修開始当初はインクルーシブ教育に対する意識が乏しかった教員が,子どもの実状に応じてどのような支援を行えばよいかを提案できるようになった。しかし,所属する学校によって特別な配慮を要する子どもの状況,人数が異なり,1クラスのうち半数以上に特別な配慮を要する子どもが在籍する学校が複数あり、その場合の支援方法の検討が課題として生起された。これらの結果より,特別支援教育における家庭科教師の実践的力量形成のための教育プログラムを検討し,修正した。 2)特別支援教育における家庭科授業に悩んでいる現職教師に対する指導の手引き書を作成した。現職家庭科教師がインクルーシブ教育における家庭科授業を実践しやすいように,通常授業案をもとに,子どもの実状に応じて,どのように支援を実施すればよいかがわかるように手引き書を構成し,作成した。その中には,授業展開の基礎となる調理実習,被服実習の基本の支援方法も掲載した。
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