研究概要 |
本研究では,今後の情報社会がどのように変化するかの視点から学校教育の中で将来に亘って利用できる技術・情報教育の教材開発を目指している。このとき,紀元前から今日に至るまで,計算具,計算機器,計算機械,コンピュータ,情報環境等の順に発展している経緯を情報教育の中で意識させるために,紀元前の計算具を含む情報機器の復元物を石膏トナーを材料として3次元造形カラープリンタにより製作し,学校において将来的に有効となる未来志向型3次元教材を開発することを目的としている。 本年度の研究では,フランスの工芸院博物館やシテ科学産業博物館を訪問し,ネイピア棒,パスカリーヌ,CURTA回転式計算機,CHATEAU機械式計算機,ロシアそろばん,中国そろばん等について調査した。また,日本で用いられていた初期のコンピュータの一つである動作可能なミニコンピュータNOVAを収集した。学校教育で扱う3次元教材としてこれらの中から中国そろばんを選定し,可動可能な上2珠,下5珠の中国そろばんを石膏トナーから製作・復元した。さらには,3次元教材復元の際のフォーマット変換として,高さ情報のみを有する形状データから3角形ポリゴンとなるSTLフォーマットに変換する手法を開発した。加えて,カラー表現が可能なWRLフォーマットへ変換する手順も完成させた。そのため,形状データが点データで構成されている場合でも3次元立体教材を造形できるようになった。これらの情報収集とアルゴリズム開発により,3次元立体教材の適用可能性を広げることができた。
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