研究概要 |
本研究では,紀元前からの情報機器変遷を考慮しながら,今後の情報社会がどのように変化するかの視点から技術・情報教育における未来志向型3次元教材の開発を目指している。このとき,3次元高さ情報のみを有する形状情報から3次元プリンタ出力が可能なフォーマットへ変換する手法を開発し,3次元プリンタ出力時の細軸周りの強度を高める方法を開発し,さらには,技術・情報教育のための新たな3次元教材を開発した。 具体的には,まず,3次元高さ情報のみを有する形情報をSTLフォーマットとしてのCADデータに変換プログラムと3次元プリンタ出力が可能なフォーマットへ変換するプログラムを開発した。また,軸周りの珠が動く可動部分を含む教材については,教材として利用する際の石膏トナーの造形厚さと軸の径の大きさ調整の方法を確立した。さらには,サラミスのアバカスに代表される紀元前の線そろばん,ユパナに代表される小石等を使用した計算具,中国そろばんに代表されるそろばん,八頭自働算盤に代表される手回し式計算機,各種コンピュータ等に対して教材として復元可能かどうかの検討を進めた。特に,中国そろばんについては現地調査を含めて詳細に検討し,構造が比較的簡単なローマ時代のそろばん,ロシアそろばん,中国そろばんを事例として3次元プリンタによる復元教材を開発した。さらに,中学校技術・家庭(技術分野)や高等学校情報での利用可能性を学習指導要領と関連させて整理した。 以上の研究の流れの中で,中学校における技術教育ならびに高等学校における情報教育の中での3次元教材の位置付けを明確にした。
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