研究概要 |
テイト・ギャラリーの教育普及活動は,義務融育課程の学校との連携と美術に対する教師うの啓発を目的とする非常に質が高い内容を誇っている。この研究では,そのなかでも,美術館と学校が連拷して行う実践的な教育プログラムに焦点をあて,その狙いと組織,運営の方法と成果について,現地でのインタビューの手法を活用して,調査・研究すうことを目的としている。 平成23年度の研究成果として,テイト・ブリテンが中心となって展開したバーバル・アイズというプロジェクトの目的・運営・評価について,このプロジェクトに積極的にかかわり,学校における造形教育の改善に努めた三人のアーティストから詳細な聞き取り調査を行うことができたことが挙げられる。 前年度に聞き取り調査をした学芸員と教師に加えて,アーティストを取材したことにより,バーバル・アイズというプロジェクトの全体像を把握することができた。 アーティストの役割について言えば,材料やテーマから受けるイメージをもとにイマジネーションを羽ばたかせる彼らのアーティスティックな思考方法が児童生徒と教師双方に多大な刺激を与える役割を担ったと言える。また,アーティストは,単に子どもたちに刺激を与え,材料の扱い方や技法を教える役割を担ったのではなく,子どもたちとの対話を通じて,彼ら自身が自らの創作への意欲も喚起されたのである。このような関係性の構築を導くために,このプロジェクトでは,アーティスト二人で二つというペプを組織するなど,幾つかのきわめて示唆的な工夫を行っている。これがどのような教育的な意味を学校にもたらしたのか,口頭発表などを通じて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の2年目に当たる研究計画の中心は,美術館と学校が連携して行なう実践的な教育プログラみを調べることを目的としていう。具体的にはバーバル・アイズというプロジェクトの詳細を現地のロンドンにで,アーティストなど関係者から取材し,その目的と運営方法と成果をまとめることてある。この計画に沿った学会発表を実施できたことで,おおむね順調と評価できる。また,印刷中めため,下記雑誌論文欄に記載できないが,女子美術大学の美術教育関連領域の紀要に,「テイト・ブリテンの学校プログラム参加アーティストの視点かち」という論題の論文を連名で投稿済みであり,これを含めて(2)の評価としている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度前半は,平成22年度に実施した学芸員(プロジェクト企画者)・教師のインタビューと平成23年度に実施したアーティストへのインタビューの記録を精読し,"Tate Handbook"など,テイト・ギャラリーの教育普及活動の全体像を論述した文献とつきあわせることで,バーバル・アイズの先駆的な位置づけについて明確にする予定である。本年度後半には,アーティストとの連携を強化することで,創作活動のライブ感を学校に導き入れる方法を模索し,美術館と学校との連携について検討している学芸員・教師とともに,教材の開発と組織的な教育計画の立案について検討する。これまでの成果の報告を兼ね,上記の教材開発および教育計画の立案の見通しをつけるため,研究代表者・研究分担者・研究協力者とともに適切な研究者などを加えたシンポジウム形式の研究会を二回開催する予定である。なお,この方向は申請時の計画と変わっていない。
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