初等理科教育において問題解決の能力を子ども自身が内化し、自らの学習状態を診断的に見つめ、改善するという方略を身につけていくための指導法の在り方を、メタ認知の形成をめざした授業の視点から学校現場での実証的な研究を通して確立し、わが国の初等理科教育の授業改善に資することを目的とした。本年度は、メタ認知の働きを促進する視点から問題解決の能力(学び方アイテム)を子ども自らが自発的に利用したり自問自答したりできるようになるための指導法の実証的研究を行った。 (1)メタ認知の働きを促進する視点から「学び方アイテム」を子ども自らが自発的に利用したり自問自答したりできるようになるための教育実践モデル案を作成した。具体的には、「学び方アイテム」に気づかせる授業でデザイン、そしてそれを意識して利用させる授業デザイン、それを使ったときの感覚を評価させる授業デザインを作成し、授業レベルの指導方法を複数開発した。 (2)開発した授業レベルの指導方法を基に教育実践グループの在籍校の複数の小学校で実践をした。特に、本年度は、5年生と6年生を対象に「学び方アイテム」に気づかせる指導と使ったときの感覚を評価させる指導に関する実践を行った。その結果、「学び方アイテム」はメタ認知として機能し、学習効果も期待できることが明らかになった。なお、「学び方アイテム」を使ったときの感覚を評価させる指導方法について、今後さらに検討する必要があることもわかった。
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