研究概要 |
介護福祉士養成課程の新カリキュラムに即した介護現場と有機的に関連した生活支援(介護)技術教育の新たな学習モデル構築を目的として今年度は,介護福祉士養成課程における生活支援技術の基礎教育内容と卒業時到達度の設定に向けて取り組んだ.本研究を実施するにあたり,2つの基礎調査を実施した.1点目は介護現場における介護職員の介護技術修得状況であり,2点目は介護実習終了時の学生の介護技術修得状況である.それらの結果として,介護現場で実施頻度の高い項目は「食事」,「車いすの介助」であり,低い項目は「化粧」,「終末期の介助」であった.実施頻度の高いほどアセスメントや修得度ともに高くなる正の相関を示した.介護職員は実践を通して技術が成長する反面,アセスメントの自己評価は低いなどの知見も得た.また,学生も介護実習で経験頻度の高い項目ほど修得度が高く,実習中に経験していない項目も「終末期の介助」,「採尿器・差し込み便器」など複数みられた.学生と介護職員は修得しやすい及び修得しにくい項目に同じような傾向を示した.これらの結果をふまえ,「想定される教育の内容の例」に介助の技法として記載されている項目及び,介護福祉士養成課程での主な使用テキストの項目をもとに質問紙調査票を作成した.そして,第1研究として介護福祉士実習に携わる介護施設の指導者及び介護教員96名を対象に質問紙調査を行い,生活支援技術の基礎教育内容を84項目に整理した.次に第2研究として「臨地実習において学生が行う基本的な看護技術の水準」に準じて94名を対象に質問紙調査した.結果,I:単独で経験できる(51.2%),II:指導者見守りのもと単独で経験できる(42.9%)となった.次年度は学生の実習経験の水準及び修得度を検証する予定である. 講義や演習を受ける前に学生自身による知識構成やメタ認知活動を協調的に行うプレ演習を授業に取り入れた結果,その場での学習活動を活性化させ,方法の根拠から考える活動をしておくことでアセスメントのメタ認知的習慣が向上した.また,アセスメント能力として脳における評価実行能力を評価するため,Go/No-Go課題を実施した結果,学内演習と実習でのアセスメントや修得過程の相違が確認できた.
|