研究概要 |
今年度は,介護福祉士養成課程の新カリキュラムに即した介護現場と有機的に関連した生活支援(介護)技術教育の新たな学習モデル構築を目的として,「生活支援技術」の基礎教育内容および教育方法の2側面から検討した. 昨年の調査結果より設定した「生活支援技術」の基礎教育内容84項目と卒業時到達度の試案について.実習終了時の学生の実習経験及び到達度を検証した、介護福祉士養成課程の規定実習を終えた733名の学生を対象に、質問紙調査をした結果,以下3点の知見を得ることができた.1、到達率の高い項目は「車いすへの移乗」「コミュニケーション」などである,2、経験率が高い項目は到達率も有意に高い,3、経験率の低い項目は,「緊急時の対応」「医行為関連」「終末期」「化粧」「トランスボードを使用した移乗」など実習現場でも実施率の低い項目であった.これらの知見および医療的ケアに関する項目の追加をふまえて,専門識者の方々の助言のもと,生活支援技術の項目と到達度を検討した.結果,「生活支援技術」の基礎教育内容87項目と卒業時到達度を再設定した. 介護福祉士養成課程における「生活支援技術」の教育方法について,昨年度に引き続き,今年度も講義や演習を受ける前に学生自身による知識構成やメタ認知活動を協調的に行うプレ演習を授業に取り入れた結果,その場での学習活動を活性化させ,方法の根拠から考える活動をしておくことでアセスメントのメタ認知的習慣は向上した.また,プレ演習後に学生は根拠と方法をセットにした文章を記載する.そのセット文を適切に記載できる学生は事例でのアセスメント能力の評価も高く,正の相関関係が確認できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、生活支援技術の基礎教育内容としての項目と卒業時到達度を設定については,計画通り達成できている. 2、介護アセスメントのメタ認知化を授業デザインに対する再検証について,プレ演習用のワークシートを作成したが,介護技術演習での実践、評価に留まったため,実習を含む形成的評価が来年度の課題となった.
|