研究概要 |
本研究は,「モノづくりを通した子育て支援」をテーマに,公共の子育て支援施設等においてモノづくり講座を実施するための教材研究を行い,講座の実践を積み重ね,効果的な指導法について分析・考察することである。そのため,小学生から高齢者まで幅広い世代を対象としたモノづくり講座の実践と,施設職員や指導者を対象とした育成講座を実施することで,現場での導入・展開をスムーズにするための手法について検証する。また,その成果を有効活用できるモノづくりプログラムとして作成し,関係機関に配布,公開することが目的である。 1年目の取り組みは,幼少期からのモノづくりが身体感覚の発達や豊かな情操を養い,モノづくりの成功体験が生涯にわたりモノづくりの楽しさや喜びを味わうきっかけとなるとの仮定のもと,大阪市の公共施設においてモノづくり講座を実践した。小学生を対象としたモノづくり講座を大阪市子ども・子育てプラザで10回実施し,約100名の小学生が参加した。高齢者を対象としたモノづくり講座を大阪市老人福祉センターで実施し,約50名の高齢者が参加した。また,モノづくり講座修了後に,参加者からモノづくりに関するアンケート調査を行った。地域に密着した子育て支援施設等の多くは,子どもの安全な居場所づくりとしての役割が強い。そこで,学校とは違う役割である子育て支援施設の特徴を生かし,学校教育では体験できない取り組みに着眼し,子どもたちを経験豊かに成長させる機会を提供できる場として,施設の有効活用をはかる取り組みが実現できた。 小学生を対象とした学習型モノづくり講座については論文にまとめ発表した。また,子育て支援における羊毛素材を使ったモノづくり講座の実践に関する論文は,2011年度に掲載予定である。
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