本研究の目的は、学校におけるソーシャルワークの機能を、日常の生徒指導や教育相談のなかで具体的に活かしていく実践プログラムの実証的開発である。 今日、児童虐待や家族の養育不全・ネグレクト、そして非行、不登校(長期欠席)、ひきこもり、発達障害といった困難を抱える子どもや家族への対応において、学校現場が主体的に福祉職(スクールソーシャルワーカー)や心理職(スクールカウンセラーなど)、多様な教員相談員や支援員と共にチームで対応できることが不可欠になってきている。 そこで本研究では、教師の主体性や自主性を元にした校内外の相談支援チームや関係諸機関とのネットワークを担う実践プログラムの開発を実証的におこなった。 4年間を期間とし、学校におけるソーシャルワークの先行および試行実践について、50校程度の協力校からその実際や課題について聞き取り調査により収集した。その結果、教師にとっての多問題家庭への訪問技術や関係機関との調整機能の活性化、そして学校による地域ネットワークの形成などに焦点をあて、実践に向けた『スクールソーシャルワーク実践ガイドブック』ならびに『スクールソーシャルワーカー・ハンドブック』を作成した。関係者への配布により、その後の実践に寄与した。 また、日本学校ソーシャルワーク学会や日本学校心理士会などの専門誌等で研究成果を発表した。
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