この研究は、学校の教科外活動、とりわけ特別活動の改善に資する評価方法を開発するという目的をもつ。そのために、研究代表者が研究してきたカリキュラム評価の方法論を、特別活動にも応用できるよう検討するものである。 第一年次は基礎的作業の遂行にあたり、主な課題は、「特別活動(教科外教育)の評価に関する理論的な検討を、国内外の文献を用いて行う」だった。具体的には、プランゲ文庫等の諸データベースや先行研究の記載を利用し、関連文献のリストを作成して、文献収集に努めた。その結果、次の事実を新たに発見した。すなわち、当時の文部官僚木宮乾峰が月刊教育雑誌『教材研究』に多数の論考を発表し、日本の教科外活動の成立(1951年版学習指導要領(試案))に重要な役割を担ったという事実である。関連して、彼の履歴から、木宮乾峰、ヘーゲル研究に名を残す日高乾峰、日高一二三の三者が同一人物であり、戦前期の文部行政にも関与した事実を改めて確認した。これらは学会発表1件、学術雑誌論文2件として公にした。今後も木宮と教科外活動との関係について、検討を進める予定である。 もう一つの課題は、「カリキュラム評価の方法論を特別活動に適用するための予備的考察を行う。とくにチェックリスト法を中心とする」だった。この課題については、学会発表1件、学術雑誌論文1件として公にした。 第一年次の研究を遂行した結果、被占領期の文献に関し、望外の充実ぶりが明らかとなった。特に、教科「自由研究」から「特別教育活動」(中学校)ないし「教科以外の活動」(小学校)への課程化(curricularization)の進行、それにともなう評価論の変化は、基礎的かつ研究開始当初の見込みを超えた肥沃な研究領域と目される。 第二年次は、実践への適用を射程に入れつつ、これらのテーマについて引き続き検討を続ける。
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