研究課題/領域番号 |
22531010
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
根津 朋実 筑波大学, 人間系, 准教授 (50344958)
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キーワード | 教科外活動 / 特別(教育)活動 / 教科「自由研究」 / 図画工作 / 『小学生の自由研究』 / 『たのしい図面工作』 / 技報堂 / 被占領期 |
研究概要 |
第1年次の研究の結果、教科外活動に関する被占領期の史料について、その望外の充実ぶりが判明した。ところが2011年3月に東日本大震災が発生し、所属先を含む広い地域が被災したため、第2年次以降の研究計画のうち、チェックリスト法の現地化(localize)や、学校の協力を得て進めるアクションリサーチに関する部分を、大幅に見直さざるをえなくなった。 そこで、申請時の第2年次に関する研究計画を、次の通り、一部修正した。すなわち、第2年次は、1947年に設置された教科「自由研究」から、その後の「特別教育活動」(中学校)や「教科以外の活動」(小学校)への課程化(curricularization)、およびそれにともなう評価論等の変化について、史料にもとづき検討することとした。 その結果、これまで未検討だった『小学生の自由研究』、『たのしい図画工作』(ともに株式会社技報堂刊)といった教育雑誌を、「再発見」できた。それらの雑誌の実物や「プランゲ文庫」マイクロ複写物にもとつぎ、戦後の新教科「自由研究」と「図画工作」との関連性をある程度確認できた。さらに、戦後の教科外活動の淵源を、戦中、とくに国民学校期との連続性において理解する必要性を見出した。 如上の研究成果は、国内外の招待講演を含む学会発表、および査読付き学術雑誌論文等として公にした。また、研究の過程で確認できた諸史料にもとづき、複数の検索データベースの運営者に、掲載情報の修正を依頼した。さらに、希少な雑誌『禅の生活』を筑波大学中央図書館に寄贈し、研究情報の公開および充実に努めた。 第2年次に引き続き、第3年次はこれまでの研究関心を維持しつつ、戦後の教科外活動に多大な貢献を果たした教育学者、宮坂哲文(みやさかてつふみ1918-1965)に注目し、検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請所に記載した「研究の目的」は、東日本大震災により、第2年次の研究計画の見直しを余儀なくされた。見直し後の研究は順調に進展し、新しい史料や事実の発見等、望外の成果を着々と挙げつつある。これらの状況を総合的に判断し、自己点検による評価を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は、第2年次で大幅に見直した研究計画の方向性を維持しつつ、最終年度の第3年次で成果を総括的にまとめることにある。具体的には、収集した諸史料の整理と公表、たとえば木宮乾峰(日高一二三、日高乾峰)関連文献目録等の作成および配布が挙げられる。また、特別活動の評価が、とくにその方法面で心理学的な様相を呈するに至った経緯を探るべく、引き続き史的検討を進める。
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