本年度は、平成23年度に行った検証授業とその内容・課題をふまえ、中学校国語科における「話し合い活動」を対象としたメタ認知的な意識や思考活動の具体を明らかにするためのツール(ワークシート)を開発した。研究目的に沿って仮説的提案を行い、仮説的に示した学習ツールの教材としての応用可能性及び学習者把握のための指標としての妥当性を明らかにすることを目的として研究を進めた。本年度の具体的な研究実績については以下の通り。 1)学習ツールの理論的枠組みの構築:教材研究と教材開発に関する本研究での立場を明らかにするとともに、この作業と学習者の実態調査・分析の枠組みの構築との関連性を明らかにした(前年度より継続)。また、検証授業に基づき、前年度に開発(試作)した学習ツールの内容や授業時の運用方法に再度検討を加え、教材としての妥当性を図りながらその形式・形態に修正を加えた。 2)「メタ認知的な意識及び思考」の抽出及び分析システムの構築と有効性の検証:学習ツールの開発と連動した学習者の実態調査の方法と実態分析の方法を策定した。具体的には授業記録(収集した内観報告を含む)をデータベース化し、データ分析を行った。また、データ分析の結果とその考察に基づき、授業分析システムそのものの有効性について検討を加えた(前年度より継続)。 3)研究成果の発表:実績報告書の作成を行った。本報告書の作成にあたり、協力者である中学校教諭(授業実施者)が第5章第1節・2節・3節を執筆し、小学校教諭(授業分析方法検討協力者)が第6章を執筆した。研究代表者はこれらを踏まえて全体を総括し、報告書にまとめた。
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