研究課題/領域番号 |
22531019
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
柳沼 良太 岐阜大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (30329049)
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キーワード | 道徳教育 / 人格教育 / 問題解決学習 / プラグマティズム / 道徳授業 / 体験活動 / ジョン・デューイ / 学習共同体 |
研究概要 |
平成23年度の主な研究実績は、日本の道徳教育とアメリカの人格教育(character education)を実地調査して、日米の比較検討を行ったことである。 まず、国内では小中学校において問題解決型の道徳授業を実施するところを指導訪問した。特に岐阜大学附属小学校、長良西小学校、陽南中学校、東長良中学校などは複数回にわたり訪問指導して、独自の道徳授業を開発・実践し、その効果を検証した。 次に、アメリカのニューヨーク州立大学コートランド校にある第4第5Rsセンターを訪問して、リコーナ(Thomas Lickona)博士と共同研究を行った。また、リコーナ博士と一緒に人格教育を実践する優秀校シップレー小学校、ウォータールー中等学校、ランシング中等学校、ミラード・ホーク初等学校、マリオン中等学校などを実地調査した。こうした研究調査の成果は、論文「人格教育の継承と発展」で発表した。 第二に、リコーナ博士とデヴィッドソン博士が共著で刊行した人格教育のナショナル・レポート『優秀で善良な学校~パフォーマティブな人格と道徳的人格の統合を目指して~』を翻訳した。この翻訳書は、慶応義塾大学出版会より平成24年7月に刊行予定である。 この他にも、共著『新たな道徳教育の時代』では、コールバーグらの道徳性発達段階に基づくモラルジレンマ授業を解説する「第5章道徳性の発達」(15~27頁)、および価値の明確化、モラルジレンマ、人格教育などを概説する「第10章諸外国における道徳教育」(123~136頁)を執筆した。また、日米の道徳教育を比較検討する単著『道徳教育の再構築~生きる力を育む道徳指導法~』を平成24年8月に慶応義塾大学出版会から刊行するところまで準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日米で小中学校の実地調査を行い、教育実践の分析と省察を順調に行っている。アメリカの人格教育に関する研究は、平成24年2月に論文「人格教育の継承と発展」で発表したが、日米の道徳教育を比較検討した『道徳教育の再構築』、および翻訳書『優秀で善良な学校』は、平成24年7月に刊行する予定であるため、まだ研究実績には記せていない状況にある。以上から、研究の達成度としては、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、研究計画通りに進める予定である。既に日本の道徳教育とアメリカの人格教育について実地調査を行っているため、データを分析して省察をまとめる必要がある。平成24年度には、これまでの研究成果を単著『道徳教育の再構築』を刊行する予定である。また、アメリカの研究協力者であるリコーナ博士とディヴットソン博士の翻訳書『優秀で善良な学校』を刊行する予定である。 尚、人格教育に関して不足している資料は、リコーナ博士やディビットソン博士に依頼して補充を行う。また、今年度は、国内の中学校の道徳教育の実践活動をより多く視察する予定である。また、アメリカではハイスクールの実践例が多いため、国内でも高校における道徳教育の研究協力校を増やす方向で検討している。
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