研究課題/領域番号 |
22531019
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
柳沼 良太 岐阜大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30329049)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 道徳授業 / 倫理授業 / 人格教育 / 国際情報交換 / 道徳教育推進教師 / 問題解決型 |
研究概要 |
今年度は、主に中学において人格教育に基づく道徳授業を構想し、それを国内の研究協力校で実践し検討した。これまで開発・実践してきた「問題解決型の道徳授業」を発展させた上で、リコーナ博士とデビッドソン博士と共に取り組んできたアクション・リサーチに基づく問題解決型の道徳授業を再構築した。 その研究成果として、まず、単著『「生きる力」を育む道徳教育―デューイ教育思想の継承と発展―』と共著『新たな時代の道徳教育』を刊行した。また、リコーナ博士やデビッドソン博士と共同研究した教育実践に関する共著・監訳『優秀で善良な学校(Smart & Good High School)』を刊行し、日米の中学・高校における道徳授業・倫理授業のあり方を比較検討した。 論文では、「日米の道徳教育に関する比較考察―新しい人格教育との比較を中心に―」と「人格教育の継承と発展」と共著「道徳教育推進教師のあり方と開発実践」を発表した。この他、今年度の研究成果を社会一般に公開するために、教育誌『道徳教育』(明治図書)で「生きる力を育む問題解決型の道徳授業」を連載し、『児童心理』(金子書房)では「何でもやってみたい~心の輝きと翳り」(948号)、「友だちと自分はどう違う~小学校高学年の発達心理~」(950号)、「子どもを信頼する」(966号)を掲載した。 また、2012年10月27日・28日に鳥取で行われた日本道徳教育学会第80大会で「日米の道徳教育に関する比較考察」を個人研究発表し、「道徳教育推進教師の役割」を大蔵純子教諭と共同研究発表した。2013年4月に日本道徳教育学会の紀要『道徳と教育』に論文「日米の道徳教育に関する比較考察」を掲載し、2013年2月に岐阜大学教育学部紀要に共著「道徳教育推進教師のあり方と開発実践」掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新しい人格教育に基づく問題解決型の道徳授業を主に小学校や中学校で理論的に構築し、それを実践して実証的に研究することができた。その成果として、小・中学校における問題解決型の道徳授業や日米比較教育について論述した単著『「生きる力」を育む道徳教育―デューイ教育思想の継承と発展』や共著『新しい時代の道徳教育』を刊行することが既にできた。 その上、日米の中学校や高校(ハイスクール)の道徳教育を比較考察する上での基準となる『優秀で善良な学校(Smart & Good School)』を監訳し解題して刊行することができた。上述した三冊の刊行は、当初に計画していた目標よりも早い時期に達成できた。 また、我が国の道徳教育とアメリカの新しい人格教育を比較検討することで、問題解決型の道徳授業の成果と課題を見出すことができ、日本道徳教育学会などで学会発表をすると共に、複数の論文で発表できた。 さらに、道徳教育推進教師の立場から、多様なアプローチとして問題解決型の道徳授業を指導する方法を共同研究し、アクションリサーチを行うことができた。国内で現場教師と共同研究発表することにより当初の計画を上回るペースで進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本研究の総括として、日米で行った道徳教育・人格教育の共同研究の成果を国内外で研究発表する。学会発表の内容については、随時アメリカの新しい人格教育の研究者(リコーナ博士、デイビッドソン博士、キルパトリック博士など)から助言・指導を受けながら進行させる。 国内では、日本道徳教育学会や日本デューイ学会において本研究課題「新しい人格教育に基づく道徳授業の理論と実践」の研究成果を理論的かつ実践的に検証して発表する。海外では、国際道徳教育学会(The Association for moral Education)で日米の比較教育研究の成果を英語で発表する。 以上の研究成果は、関連学会の紀要、岐阜大学教育学部の紀要、そして単著『日米の道徳教育~新しい人格教育との比較を中心に』(仮題)として刊行する予定である。 また、現政権下の教育再生実行会議および文部科学省の中央教育審議会が検討している「いじめ問題等に対応する道徳教育の充実」および「道徳の教科化」についても、本研究との関連で積極的に提言する必要がある。 その他、各種の道徳研修会や招待講演会、シンポジウム等で国内外の道徳教育の実践例を紹介すると共に、各種の教育誌『道徳教育』、『道徳と特別活動』、『児童心理』などで啓蒙活動を推進していきたい。
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