研究課題/領域番号 |
22531021
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40278594)
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研究分担者 |
寺田 守 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
森 美智代 鈴峯女子短期大学, 言語文化学科, 准教授 (00369779)
渡辺 貴裕 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (50410444)
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キーワード | 小中連携教育 / 国語科教育 / 文学教育 / 幼児教育 / 系統性 |
研究概要 |
当該年度の取り組みは、3年間の研究の土台を作るための、基礎作業を重ねることになった。具体的には、小学校、中学校において使用されている国語教科書における文学的文章教材を教科書ごとに検討し、教科書の編成の中で、どのような「系統性」が構築されているのかを明らかにしようとした。 その結果、小学校6年間の物語教材を貫く「系統性」の原理の一つとして、物語世界との関わり方のシフトがあげられることが明らかになった。 つまり、幼児期から学童期への移行期間としての1年生中期ぐらいまでの物語教材の特徴は、読者が物語世界への主体的で積極的な「参加」を、自己中心的に行っていくことが目指されている。そこから低学年にかけて、今度は物語の登場人物や状況への「寄り添い」=「同化」が目指されるように教材が変容する。中学年では、物語の構造への着眼がキーとなる教材増え、物語の作られ方を自覚する力への期待を反映した教材編成となる。いわば、構造分析を伴う「異化」をくぐることによって、より深い「同化」へと向かう読みの力の育成が目指されている。高学年は、構造分析によって明らかになった物語の作られ方の向こう側に、そうした仕組みを作り込んだ主体としての書き手(作者)の存在を「発見」し、対話する力が目指されている。物語世界への同化、構造分析、書き手との対話。こうした算用の合い関わる読みの力を基礎として、中学校では、より高度で複雑なテーマや構造を備えた物語への挑戦をしていくことで、その力の洗練がはかられていると言うことができるのではないか。以上が当該年度の取り組み成果である。
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