研究課題/領域番号 |
22531021
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40278594)
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研究分担者 |
寺田 守 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)
渡辺 貴裕 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (50410444)
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キーワード | 小中連携教育 / 国語教材の系統性 / 授業研究 |
研究概要 |
本年度は、昨年度の基礎理論の検討を踏まえて、具体的な国語授業場面で、どのような物語学習が展開し、その展開のプロセスに、教師の側の教材の系統性への意識が流れているかを、具体的な授業観察を重ねることによって、検討しようとした。 対象は東大阪市立弥刀小学校の1年生から6年生の物語の学習指導場面を7月1日、9月22日、10月20日、11月24日の計4回に渡ってビデオ撮影し、授業研究のカンファレンスを行った。特に、入門期の1年生、低学年の2年生の特定学級を定点観測的に継続観察し、1学期から2学期にかけての読みの力の変容をとらえながら、どのような国語教材の構造が、そうした読みの力の変容に働き掛けているのかを明らかにしようと試みた。 そうした取り組みの中で問題になってきたのは、物語教材の系統性を考える上での基礎考察として、具体的な小中の国語学習の対象として取り上げるべき【物語の構造】は、どのようなものなのか、ということへの探求が充分とは言えないということであった。本年度中に、二度住田勝が行った学会発表は、そうした問題に具体的に迫るための取り組みであった。そこでは、一つは【人物】の設定並びに変容のプロセスをとらえる力と、物語の分節された腎管展開としての【場面】を把握し、その関係やつながりについて反応する力を文学的読解力の大綱として措定することが可能かどうかを検討したものであった。しかし、そうした人物や場面に対する分析力が発揮される周辺には、たとえば視点であるとか、文末表現であるとか、伏線、題名、対比や類比といった、さまざまなレベルの必ずしも整理を上手くつけることの出来ない重要な物語要素立ちが互いにその重要性を主張してひしめき合っている状態であることが見えてきた。そうした、互いに関連する国語学力として取り上げる値打ちを有するであろう、重要度の高い物語の構造を明らかにし、それを系統的につなぐ学習指導の開発とその有効性の検証という課題に向かう、その道筋がうっすらと見えてきたと言ってよいだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小学校から中学校にかけての国語教材の系統性の洗い出しについては、授業観察も含めて一定順調に進んでいる。しかし、就学前教育(幼児教育)から初等教育へのつながりを検討するためのフィールド、環境の確保がおくれており、この方面の取り組みは、理論的、理念的検討に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
物語の主要構造が、先行研究の中でどのように位置づけられ、検討されてきたか、という問題にアプローチする。そのことによって理論的補強を行うとともに、中学校の完成期を見据えた小学校での系統的読みの授業実践、逆に、小学校での学びとの連続性、継続性をもった形での中学校での発展学習の実践等々、学校現場での実践可能性を意識した提案授業の構想を進めることを視野に入れて、そのための基礎研究を積み重ねる必要があるだろう。また、幼児期の物語体験をとらえるための環境、体制づくりを進め、何らかの形で幼児期の物語体験の構造化を試みたい。
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