本研究の目的は、「総合的な学習の時間」において児童・生徒の学習評価を適切に実施できる教師の力量形成とそのための学校内での校内研修の方法について明らかにすることである。今次改訂で『総合的な学習の時間・解説』書において、学習評価の方法として示されたポートフォリオ評価やパフォーマンス評価については、評価方法はもちろん実施するための手立てさえ不明確なままである。したがって、これらについて教師の力量形成を図ることと研修方法を明確にすることは急務である。よって、「総合的な学習の時間」の先進校以外の一般公立学校でも可能な学習評価に関する評価研修システム開発を行う必要がある。平成22年度の研究成果は、以下の3つである。 第一に、国内外の理論研究としての文献収集とその分析、及び先行校の評価実践についての現地調査を行った。ここでは、「評価指標」設定の理論を明確にし、及び現実の学校教育現場における「総合的な学習の時間」の学習評価の実態を明らかにした。 第二に、共同研究実践校として、佐賀県白石町立有明南小学校(浦郷淳教諭)、京都府大山崎町立第二大山崎小学校(濱松久恵教諭)、岐阜県大垣市立一之瀬小学校(香田健治教諭)、岩手県八幡平市立田山小学校(菅原由香里教諭)の計4名の実践者が、これらの新しい評価方法を「総合的な学習の時間」で進めた。 第三に、上述した4校での実践を合同研究会で検討し、ルーブリックの妥当性についてはモデレーションが必要であることを確認し、今後の研究の指針を得た。
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