本研究の実績は以下の点である。第一に、一般公立学校を対象とした「総合的な学習の時間」で「育てようとする資質や能力及び態度」について学習状況評価するための「評価指標」の設定方法について明らかにした点である。先進校での特質と一般公立学校の実態とを検討し、一般公立学校でも可能であるような教師の負担感が少なく、かつ児童・生徒の学習成果に効果的な設定方法を開発した。 第二に、「総合的な学習の時間」における評価研修の方法として開発した、グループ・モデレーションによる評価研修システムを一般公立学校を対象として実施し、その効果を検証するとともに、グループ・モデレーション法のさらなる改善を行った点である。とりわけ、「総合的な学習の時間」において「育てようとする資質や能力及び態度」の学習状況評価に活用する「評価指標」の機能が、児童・生徒の能力形成と教師の指導改善にどのように働いているのかというメカニズムについて分析し、一般公立学校において可能で簡便な評価研修システムの開発にいたった。 以上、本研究は、今次改訂において、「探究」を担うことが明確化された「総合的な学習の時間」において、児童・生徒の「資質や能力及び態度」の学習評価を教師が容易にできる「評価指標」の設定方法と、それを活かした評価研修システムを開発・改善するに至った。本研究は、新学習指導要領が移行措置期間にある現在、「総合的な学習の時間」において児童・生徒の能力形成を図るとともに、それらを支援する教師の力量を高めるための一助となるものと確信する。
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