研究課題/領域番号 |
22531029
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣岡 秀明 北里大学, 一般教育部, 准教授 (60296522)
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キーワード | 物理教育 / 能動的学習教材 |
研究概要 |
本研究の目的は、非物理系である医療系初年次の学生に対して、双方向教育として注目されるクリッカー端末を用いたピアインストラクション用の学習教材を開発することである。初年度においては、端末納入の関係上、後期から実施する体制となったが、23年度は、クリッカー端末を利用した講義をフルに実施できるようになり、前期の力学分野から後期の波動、電気の分野にわたり、すべての内容で開発教材の試行を行うことができた。後期分については、2年目にあたり、難易度の調整や選択肢の改良などを行った。前期の力学分野については、これまで運動方程式を前提とした計算が多かったものであることから、概念重視の選択式に変更することで、取り上げる項目に向き不向きがあることなどがわかってきた。 また、本年度の計画では概念的な理解を助けるためのCG作成を行うこととしていたが、おもに波動関係の画像や、わかりにくいとされる正弦波を用いた波の伝播や反射、屈折といった現象のアニメーション作成を行った。これらは学生アンケート結果や正答率の上昇といった効果となって、一定の役割を果たしたものと考えられる。 さらに、これまで作り上げてきた教材のまとめの作業に入るべく、24年度内出版を目指して、書籍制作を企画し出版社の選定を行った。これにより、成果の還元という目的を果たす全段階がクリアーされたことになる。実際の作業は次年度になる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発教材の実施という意味では、クリッカー端末を用いた試行を年間フル講義で実施することができ、データの蓄積を行うことができた。ただし、当初予定していた評価法の検討は不十分であるため、この点では達成度はやや遅れていることになる。しかし、次年度に検討を予定していた出版物としての公表については、出版社の選定を終え、内容の検討を行うなど前倒ししてきた点もある。これは早期出版を目指すという意味で計画以上の進展のため、両者のプラスマイナスの相殺によりおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に不十分であった評価法について、23年度と24年度の通年の講義前と講義後の成績比較を、得られたデータをもとに成績向上の比率について検討を行い進めていく。比率を用いるのは、年度ごとの学生の初期状態が異なるため、規格化の意味をもたせているからである。この上で、効果的と判断したものについては、24年度に教材として出版を進めていく方針である。 また、補助教材として作成してきた動画などについては、広く公開するという意味でインターネットの活用を検討していく。基本的に独自開発のため、著作権についてはクリアーしていると思われるが、この点については別途詳細に検討を行う。
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