研究課題/領域番号 |
22531036
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
山本 敏郎 日本福祉大学, 子ども発達学部, 教授 (00166810)
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研究分担者 |
鈴木 庸裕 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70226538)
照本 祥敬 中京大学, 国際教養学部, 教授 (10227530)
藤井 啓之 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70253044)
高橋 英児 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (40324173)
福田 敦志 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10325136)
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キーワード | 子どもの貧困 / 地域連携 / 生存権を保障するための環 / 基礎的な学力 / 生活習慣 / 「働くこと」に関わる学び |
研究概要 |
貧困状態にある児童・生徒への指導・支援のための先行研究・実践の動向調査(文献調査)をおこなった。教育学・教育実践にかかわる研究誌において、貧困をテーマにした研究が登場するのは2007年以降である。1990年代は階層分化が類似のキーワードとして研究されている。戦後直後から1960年代にも貧困それ自体は意外にも取り上げられていない。これは児童福祉分野で、貧困は語られていたが「子どもの貧困」について語られてこなかったことと符合する可能性がある。 貧困状態にある児童・生徒への指導・支援について、小田原市、相模原市、町田市の教師たちの取り組みの聞き取りにおいて特徴的だったのは、貧困状態にある子どもたちにとって、学校はかつてのように将来と進路を決定付けるための、よくも悪くもなくてはならないものではなくて、あってもなくてもいいものに変わってしまっていることである。そうであるからこそなのだが、学校において医療、児童福祉、心理臨床、行政関係者なども加わった支援会議やケース会議が催されたり、民生児童委員や児童相談所などとの地域連携が進められているように、学校が子どもの生存権を保障するための環の役割を果たそうとしていることが特筆されるべきであろう。 実践的・臨床的には、経済的貧困・虐待・発達障害が複合している状態の子どもたちを、多くの関係者が保護すると同時に、基礎的な学力の保障、基本的な生活習慣の確立、進路決定及び「働くこと」に関わる学びへの指導や援助が行われていた。このことは子どもたちを「保護の対象」とするだけではなく、子どもたち自身を貧困を克服する主体に育てようとするエンパワメントであると評価できる。
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