メディア・オーケストレーション電子教科書の開発の完成年度にあたる平成25年度は、平成22年度のパイロット的教材校正、平成23~24年度の本格的な電子教科書開発をふまえ、『ドイツ』についての電子教科書とその教師用指導書(マニュアル)作成が全面的に実施された。結果は、「メディア・オーケストレーション電子教科書の開発(3)』(B5全70ページに及ぶ)論文にまとめられた。その内容は電子教科書教材ソフト『ドイツ』の基本的な設計に始まり、具体的な教材設計、開発のねらい、「他国理解」を通して世界遺産から文化遺産さらには生活遺産までを学習させる意図、電子教科書を用いた学習指導案、電子教科書各単元の考察(ドイツの概要に始まり、ドイツを東部、西部、南部、北部にわけそれぞれの歴史と文化について学習させる電子的な本文、映像、資料の配置とその意図)、成果と課題、からなる。成果としては、中等社会系教科あるいは総合的な学習で使用可能な教材ソフトを開発することができた。総合性をもちながらも、多様性のある「ドイツ」について、空間的な区分を設定した教材を開発することで、それぞれのローカルな特色をつかませるとともに、各学習で扱われる世界遺産から生活文化を通じてそのグローバルな意義にも気づかせる内容となった。方法面の成果の第1は、はとんどMacにバンドルされているテキスト・エディット(WINのメモ帳に相当)のみで、OSフリーで汎用性に富む教材開発の可能性を実際に提示することが出来た。また、色彩をうまく使用することで、インターフェース自体がドイツという学習内容をシンボライズする者に出来た。開発したスクリプトを公開することで、興味。関心をもった教師、研究者が同様の、あるいは改良した教材を開発する可能性に道を開いた。今回は使用しなかったが、音声ソフトと連携する教材ソフトへと展開していくことが課題である。
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