研究概要 |
本研究では、アメリカにおけるスクールカウンセリングや進路指導、あるいはWHO(世界保健機関)が提示するライフスキル教育などを参考にしつつ、小学校高学年および中学校段階を対象とするガイダンスプログラムを開発する。そして開発したガイダンスプログラムが、児童・生徒にもたらす教育効果について実証する。 本年度(1年次)は、児童・生徒の発達段階を踏まえつつ、人間関係形成能力の育成をめざした共感性育成プログラムの開発に着手した。共感性の育成をめざし、授業の展開場面においてロールプレイを用い、体験を通した気づきを促す教材づくりの準備に取り組んだ。また、これまでの研究成果[若手研究(スタートアップ),2008-2009、ひらめき☆ときめきサイエンス,2009]を生かすために、改めて実践記録の見直しと整理を進めた。 プログラムの開発にあたり、ロールプレイを共感性および自己理解・他者理解を深めるうえで効果的な取組として位置づけた。それをガイダンスプログラムに組み入れ、複数時間(4単位時間を1セッションとする)で構成するとともに、各授業間の系統性を重視した。児童・生徒一人一人が、判断を要する葛藤場面に身を置き、自ら心をゆさぶり、相手の立場や状況を踏まえつつ、主体的な判断を促すための工夫を加えた。 なお、研究協力者の勤務校において、生徒一人一人が自尊感情を高めるための研修を通して、教育現場が直面している教育課題についても情報収集ができた。さらに、海外学校訪問調査(ドイツ:Franz-Schubert-Grundschuleにおける「朝の輪(学級活動)」の授業、Dietrich-Bonhoeffer-Schuleにおける倫理および葛藤解決の授業)を通して得た資料(主に観察記録)についても、本プログラムを開発する視点に立ちながら分析・検討を進めた。
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