研究概要 |
前年度に引き続き、児童・生徒の発達段階を踏まえつつ、人間関係形成能力(自他の理解能力、コミュニケーション能力)の育成をめざし、共感性育成プログラムの開発に取り組んだ。それは生き方教育の視点から、進路指導を系統的・計画的に進めるうえで、小・中学校間における教育の連続性に着目したガイダンスプログラムの開発が望まれていることに依拠する。そこで共感性を育むために、授業の展開場面でロールプレイを用いて、体験を通して新たな気づきを促す教材開発に努めた。その際、これまでの研究成果(中学校教育現場における教育実践、若手研究[スタートアップ],H20-21、ひらめきときめきサイエンス,H21)を再吟味のうえ、プログラムの開発に生かした。 そして新たな教材として「涙のカムバック」を改訂するとともに、授業プログラムの内容についても再編成した。そのときロールプレイの教育効果として、児童・生徒の共感性および自己理解・他者理解が深められる点を重視しながら作業を進めた。児童・生徒一人一人が、判断を要する葛藤場面に身を置き、自ら心をゆさぶり、相手の立場や心的状況を踏まえつつ、能動的に考え、判断し、表現に至る行為内容を高めるまでのプロセスを明確にできた。 また研究協力者の勤務校において、生徒が自己理解・他者理解を深め、自尊感情の向上をめざした研修会にも参加し、教育現場が直面している教育課題(教育相談)について情報収集にも努めた。 加えて海外学校訪問調査(ドイツ:Nelson-Mande la-Oberschile校における「社会性の学習」,「学級会」,「生徒協議会」、Realschule am Oberen Schloss校における「学級会」,「民主主義教育」、Grundschule Sud Landau校における「児童会」,「学級会」)を通して得ることができた取組のよさを、教材化のプロセスにおいて盛り込むことができた。
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