全体の研究目的は、(1)不登校経験を持つ生徒の「学習への自信と学習意欲」の特性について心理学的観点から検討すること。(2)不登校の回復期の学習支援は、これまで個別支援による学習支援がほとんどであったが、学級集団を用いて学習支援を行う新たな「不登校生徒の回復期の協同学習(※)モデル」開発を行い、実践し効果検証を図る。(3)不登校経験を持つ生徒に対して協同学習はどのような効果を及ぼすかについての基礎的な知見を得ること。得られた知見に基づき、生徒指導上の配慮が必要な生徒(不登校傾向を持つ生徒等)に通用する協同学習モデルを検討し提言することの3点である。 平成22年度は、協同学習モデルの実施前の段階として準備を行った。まずは、不登校回復期の生徒の心理的状況と導入予定である協同学習に関して、先行研究から文献調査を行った。また、協同学習を導入するにあたり、生徒の状況について、担当する教員からヒアリング調査を行い、学力と学習意欲、個別のソーシャルスキルの状況、心理的な課題を抱えるかどうかの把握、自己肯定感について把握を行った。今回の調査の対象を、これまで協同学習の経験のない新入学生を対象に行うことを決定し、その調査に向けて、質問紙調査の検討を行った。さらに、連携協力者による協同学習の研修会を行い、対象学校の教員に協同学習の知識だけではなく実践方法についても理解し、実践できるように準備を行った。
|