1.タブレット端末を活用したスクリプトフェイディング法の開発に関する研究 [意義・重要性]様々な活動の中で生まれる他者との発話機会で適切に発話し、会話を続けることを指導するために、自閉症者に対して、(1)発話のタイミングを知らせるプロンプトと(2)発話内容のプロンプトが必要である。これら2つのプロンプトを操作するために、タブレット端末によるスクリプト提示システムおよびその操作を行うプログラムを開発した。タブレット端末を活用したスクリプトの提示システムは今まで発表されておらず、初の試みである。 [具体的な内容]年度前半に、臨床指導にタブレット端末を使用した会話指導を行い、提示システムおよびプログラムの開発を進めた。タブレット端末によるスクリプトの提示システムでは、Wiiリモコンの操作により、タブレット端末にブザー音と同時にスクリプトを提示したりフェイディングしたりすることができる。また、対象者の発話が正しい場合、チャイムと「○」などの提示によりフィードバックすることができるようにした。 2.タブレット端末を活用したスクリプトフェイディング法の実証に関する研究 [意義・重要性]年度後半に、上記研究1で開発したタブレット端末のスクリプト提示システムを活用した指導を行い、この指導法の有効性を検証した。このような試みはまだ行われておらず、新たな取り組みである。 [具体的な内容]自閉症者3名を対象にカラオケとゲーム活動における発話機会において、タブレット端末によるスクリプトおよびスクリプトフェイディング法により指導を行った。発話のタイミングになるとブザー音とスクリプトが提示されて、発話を促した。20セッション余りの指導の結果、全対象者が発話行動を自発的に行うことができるようになった。以上のことから、タブレット端末を活用したスクリプトおよびスクプトフェイディング法の有効性を実証することができた。
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