この研究は、弱視者が視覚補助具を主体的に選択・活用できるために、科学的エビデンスをデータベース化し弱視者自らがピア・サポートを行う弱視ユーザー・エキスパートの養成プログラムの開発を目的としている。 22年度は、その第1段階として30数人の成人弱視者に視覚補助具の選択方法や活用の仕方を予備調査した。その結果、次のような事実がうかがえた。 (1)視覚補助具を変更する理由として、仕事等で使用する印刷文字が小さくなること、視力の低下などがあげられていた。 (2)成人弱視者が読み書きに活用する視覚補助具の変更する場合、弱視の友人やロービジョンの専門家から指導・助言を受けていることが多かった。 これは弱視者同士の情報交換やピアカウンセリングの有効かつ重要性がうかがえる。 一方で、学生時代によく使われた弱視レンズやCCTVの活用頻度は、CCTVの使用頻度の低下、拡大コピーの活用頻度の増加がみられた。職場におけるCCTVの設置やあらかじめ用意された拡大資料の提供等の配慮がないことを反映していることとも考えられた。 このような結果から22年度後半では、調査研究の精度を高めるため調査を100人位に増やすことを目的に、新たな弱視者団体にも調査協力の検討依頼をした。そして、成人でなるべく働いている弱視者にあらためてアンケート調査を依頼している。それに先立ち、調査質問項目の再検討も行った。調査に協力していただく弱視者団体の決定、アンケート調査の発送も行っている。研究課題に継続して取り組んでいる。
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