研究課題/領域番号 |
22531051
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
青木 成美 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (00282145)
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研究分担者 |
中野 泰志 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60207850)
永井 伸幸 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (50369310)
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キーワード | 弱視教育 / 視覚補助具 |
研究概要 |
この研究は、弱視者が視覚補助具を主体的に選択・活用できるために、科学的エビデンス(証拠・根拠)をデータベース化し弱視者自らが他の弱視者支援(ピア・サポート)を行う、弱視支援のプロである弱視者(弱視ユーザー・エキスパート)の養成プログラムの開発を目的としている。 平成23年度は、成人弱視者に視覚補助具の選択方法や活用の仕方について、現在の様子だけでなく、小学校時代からの使用歴を振り返ってもらう質問紙調査を実施した。調査協力団体への交渉を行い3団体から協力を得た。年度末までに76名の有効回答を得ることができた。データ分析の結果、1.大半が小学生の頃から何らかの補助具を活用しており、その中でも弱視レンズを活用していた者が多かった。これは、受障時期が早く、小学校段階から補助具として弱視レンズを使用してきたことが、最も活用した事につながったと考えられた。2.拡大読書器は、より受障時期が遅い場合に使われることが推測された。また、拡大読書器を最も活用した要因の一つとして、弱視レンズでは対応できない程度の高倍率の拡大が必要なことが考えられた。これらのことから、初期の視覚補助具の導入・選択時の考慮事項を抽出することができた。また、次の研究の準備として、数名の成人弱視者へ面接調査を行い、面接調査によるエビデンス収集の予備調査を行った。本年度、昨年度の研究を通して、成人弱視者の補助具活用状況のこれまでと現在を捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の被災地の機関の所属のため前年度末から数か月間研究を進めることが難しかったが、その後協力団体との交渉を進め、前年度から目標としていた100名に近い質問紙を回収でき、有効回答全76名のデータ入力を完了させた。そのため、今後の分析にすぐに取り掛かることができるようになった。面接調査についても予備調査を行うところまで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、8月末まで質問紙の回答を待つ。その間、データ分析の方法について試行錯誤しながら検討する。8月をもってデータ回収を打ち切り、まとめの分析を行う。おもな観点は、視覚特性と補助具の使用歴の関係、社会人になってからの補助具使用状況の変化とその要因、自分で工夫している見えにくさへの対応方法、である。また、回答者の中から任意の10名について、半構造化面接を行い、視覚補助具活用歴や工夫等について詳細に情報を収集する。それらの結果を踏まえ、弱視者の視覚補助具活用データベースを作成し、弱視ユーザー・エキスパートの養成プログラムの開発を目指す。データの整理と分析には時間がかかるので、研究の円滑化のために分析補助員を配置して効率的な研究が進められるようにする。
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