本研究の目的については、視覚障害乳幼児の視覚活用への支援は早期からの取組が重要であるため、殊に意識的な視覚の使用が不足する他の障害を併せ有する視覚障害児には必要としており、近年増加する重複障害児に重点を置いた早期の視覚活用の支援方法の検討を行うこととしている。具体的には実際の支援に携わる盲学校担当者や小児眼科医の協力を得ながら、さらに医療と支援機関の連携への模索を進めて、重複障害児への対応が十分なされた視覚障害乳幼児全体の視覚活用に関わる支援法の体系化を目指し、視覚障害乳幼児の早期支援の充実を図ることである。 平成22年度には肢体不自由・知的障害のある視覚障害幼児の重度重複障害幼児を対象とした千葉盲学校幼稚部における視覚活用を促進する指導法を課題に挙げて千葉盲学校の担当者と筑波大学柿澤敏文准教授と共に研究に取り組んだ。この成果を平成23年1月13~14日に開催された第52回日本弱視教育研究大会大阪大会で「肢体不自由・知的障害のある視覚障害幼児の視覚活用への支援-視覚活用実態把握表を活かした取り組み-」を千葉盲学校 杉山利恵子、森栄子、宮城教育大学 猪平眞理、筑波大学 柿澤敏文の共同研究として発表した。また、猪平が主宰する全国視覚障害早期教育研究会千葉大会を平成23年2月5~6日に開催したので、この研究大会の一環として同校幼稚部の授業実践で公開し成果の発表も行った。本大会は全国の盲学校(視覚特別支援学校等)等から170名の参加を得て視覚障害乳幼児の研究大会としては他に例のない大きな会となった。このテーマが取り組むべき喫緊で重要な課題であることを実感するものとなった。
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