研究概要 |
本研究では、全国の視覚特別支援学校及び小・中学校弱視特別支援学級に在籍する児童生徒の視覚障害原因を悉皆調査し、その実態を明らかにすることを目的とする。さらに、本調査結果と過去の調査結果を比較検討し、視覚障害原因の推移の状況等を考察して、今後の教育施策のあり方の立案に寄与することも目的とする。この視覚障害原因等調査は、昭和45年(1970年)以降5年ごとに筑波大学で実施しており、わが国では他に例を見ないものである。国際基準に基づいて分類整理を行っているため、諸外国の資料との比較も可能であり、教育関係者等から高い評価を受けている。とくに、本調査が悉皆調査であるため、信頼性が極めて高い、関係者の拠り所となる貴重な資料が提供できると考える。 全国の視覚特別支援学校を対象とした調査を実施し、全68校より3,375名のデータを得た。在籍者数の減少傾向と重複障害の増加傾向に大きな変化は無く、その他、保有視力の分布、点字と普通文字の使用率、視覚障害原因なども、2005年度の調査結果とほぼ同様であった。一方、全国の小・中学校弱視特別支援学級および弱視通級指導教室の児童生徒を対象とした調査を実施した結果、小学校118校202名(回収率45.9%)と中学校28校42名(回収率29.8%)より回答を得た。点字使用児童生徒および重複障害児童生徒の割合の増加傾向が認められたが、視覚障害原因について大きな変化は認められず、未熟児網膜症の割合が高かった。
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