研究概要 |
本調査では、同性で同学年の弱視学生のプロフィールを提示した後,弱視学生が必要とする25の援助内容に基づく項目からなる援助要請質問紙に回答した平均年齢20.32歳(SD=1.36)の健常学生280名(男子:110名,女子:170名)のデータに基づき、全項目因子分析を実施した。その結果、援助内容は、弱視学生の誘導や対象物の移動に関わる「移動援助因子」、健常学生が弱視学生と一緒に見たり読んだりする作業を手伝う「読み援助因子」、空欄が小さすぎて書けない場合などに代筆してもらう「代筆援助因子」の3因子に区別された。このことから,弱視学生に対する健常学生の援助意識構造が多次元的であることが明らかとなった。 次に、各因子を代表する項目を用いて、3つの尺度(移動支援尺度・読み支援尺度・代筆支援尺度)を作成した。なお、各尺度における項目の等質性と内的一貫性については、松井(2006)の基準を満たしていた。そこで、各尺度における項目の総和得点を算出し、その平均値とSDを個人要因別に求め、それぞれについて、性別、接触経験、希望職種の2×2×2からなる多元配置分散分析を行った。その結果、どの下位尺度においても,男子よりも女子が、また、視覚障害者との接触経験者(90名)はそうでない者(190名)より援助しやすいことを見出した。一方、福祉・教育系職種のような支援職希望者(100名)は、一般企業や事務系公務員を希望する者(180名)より個人情報の扱いを要する代筆援助で援助しやすいことが示唆された。このことから、弱視学生に対する健常学生の援助遂行可能性を検討する場合には本分析で区別された主要な援助内容別に行うことの必要性を提言した。 以上の結果を受け、読み支援内容からなる開示文を作成し、開示内容が同一の開示文を動画と活字の形態で作成した。
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