研究概要 |
本研究では、初対面の男子弱視学生が公的な授業と私的な日常での遊びという開示場面別に自己紹介という設定で障害開示したものをビデオによる映像(対面開示)と,活字文章(非対面開示)という開示手段で作成し、2開示場面×2開示手段の4障害開示条件のひとつを健常学生(593名)に示した。 男子健常学生に対する同性開示についてみると、社会的同情尺度への回答は開示場面によらず,非対面開示の方が有意に得点が低く、同情されることが見出された。これは、かわいそうだというイメージを対面開示によって改善したためと推察される。なお,尊敬尺度への回答では開示手段や開示場面による違いは見出せなかった。 一方、交友関係尺度への回答では、開示手段によらず、授業場面の方が有意に得点が高く、男子弱視学生が同性の健常学生と交流する場合には、授業のような公的な場面で障害開示することの有効性が示された。しかし、支援自己効力感尺度への回答では三つの下位尺度全てで、開示手段や開示場面による開示効果の違いは見出せなかった。 次に、女子健常学生に対する異性開示についてみると、尊敬尺度への回答では、いずれの開示手段でも授業場面での開示の方が有意に得点が高く、女子学生からは授業で頑張っていることへの尊敬が示唆された。また、開示手段では対面開示の方が有意に得点を高めていた。これは言いにくいであろう障害の話を正直に開示する弱視学生を女子学生が賞賛的に評価するためと推察される。なお,社会的同情尺度では,同性開示と同じ結果が示された。 一方交友関係尺度、支援自己効力感尺度とも、概ね、対面で障害開示をする方が有意に得点は高く、異性の女子学生の自己効力感を高めるには対面での障害開示が有効であることが示された。このことから、男子弱視学生の場合は、異性の健常学生に対し直接対面で障害開示をする方が健常学生は交流しやすく支緩しやすくなることが明らかとなった。
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