研究概要 |
本研究は,1)地域の学校等へ学生ボランティアとして参加している大学生の実態を明らかにすることによって、2)地域の学校等における学生ボランティアへのニーズ、3)学生ボランティアが抱える課題を検討し、4)大学資源としての学生ボランティアを地域のニーズに応えられる形で派遣できるシステムを構築することを目的としている。 初年度の2010年度は、主に次の3点について検討を行った。1)教育現場から大学側への学生ボランティア派遣依頼文書に基づく「教育現場のニーズ」分析:首都圏にあるA大学(教員養成学部がある大学)へ教育現場等から来た学生ボランティア派遣依頼状の2年分(240通)を分析対象とした。その結果、ボランティアの対象となる幼児児童生徒の割合のうち、特別な支援・個別的支援が必要な児童生徒も28%であり、そのうち65.5%が通常学級に在籍する発達障害児へのボランティア依頼であった。このことより地域の学校が大学生ボランティアに求めていることとしては、通常学級の学習活動への支援だけでなく、特別な支援・個別支援が必要な児童生徒への対応も求めていることが分かった。2)大学と自治体・学校が連携した学生支援員による支援の検討:大学の専門家によって助言を受けた学生が学生支援員として通常学級に入り実施されたボランティア活動における支援体制を検討した。結果、担任教員との連携・役割分担の明確化、支援方法を複数、段階制を持って設定することが重要であると考察された。3)発達障害の児童生徒への支援方法の検討:「ボランティア対応マニュアル作成」に向けて、発達障害への支援実践を通じて、発達障害児の理解、環境設定、ボランティアの心得等の内容についての検討を行った。
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