最終年度の平成24年は主に以下の2点について検討した。 1)学校ボランティアハンドブックの効果検証:平成23年度の研究において作成された学校ボランティアハンドブックが、ボランティアに出かける際の学生にとって、どのようにボランティア活動の知識・技能につながるかを検証した。その結果、学生はまずは子どもへの基本的なかかわりそのものに関する情報を必要としていることがわかった。また、教育現場にでかける経験が少ない学生にとっては、ボランティアの心得的な情報も重要であることが確認された。さらには、教育現場にでかける経験を積み重ねても基本的な関わり方に関する情報を必要としながら、個別ケースに対応できる情報が必要であることが分かった。 2)学校ボランティア派遣システムの考案 学生ボランティアを円滑に継続的に実施していくためには、学生の学校現場にでかける際の不安・課題の解消と関わり方に関する知識・技能の向上が重要になると考えられた。そのために以下のような派遣システムが必要であると考えられた。 ①大学側の学生ボランティア派遣体制の整備:大学の「学生支援課」などが、地域の学校から「ボランティア派遣依頼」を引き受ける窓口になり、また、学校現場でのボランティアを希望する学生を登録させることによって、学校現場のボランティア依頼内容とボランティア学生の意向をマッチングさせることが必要である。②ボランティア活動参加に向けた情報提供:教育現場にでかける経験が少ない学生にとっては、ボランティアの心得的な情報や児童生徒との基本的な関わり方についての情報を提供していくことが必要である。③ボランティア活動継続のための支援体制:学生がボランティア活動を実施していく中で抱えた課題をボランティア活動記録などによって把握し、その課題への助言を行う体制が重要であると考えられた。
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