①ASA旭出式社会適応スキル検査(以下ASA検査)の標準化時収集データ(64名)から考案した社会的スキルの類型モデルの妥当性について、約2年間適応スキルの支援経過を追跡した30名のデータを用いて確認した。ただし、理論的に想定される5タイプのうち1タイプは該当者がいなかったため、4タイプの検討にとどまった。 ②4タイプの子どもの特性(社会適応スキルの変容、知的発達レベルや障害種、年齢段階、問題行動)、環境特性(生育環境や受けてきた支援、保護者の特性)にはそれぞれ特徴があり、これらを踏まえてASA社会適応スキル支援パッケージ(以下ASA支援パッケージ)を適用する際の指針仮説を作成した。7事例の約2年間にわたる支援経過の詳細な分析と照合した結果、これらのタイプ別の支援指針仮説はおおむね支持され、いくつかの指針が追加された。ただし、理論的に想定される5タイプのうち、3タイプの検討にとどまった。 ③研究代表者ら3名の臨床心理士によるコンサルテーションを受けながら、社会適応スキル支援パッケージを活用して指導にあたった12名の特別支援学校教員へのアンケート調査を行った結果、子どもの指導目標や方法を設定し、実践する際に役立つものであることが明らかとなった。また、伸びに個人差はあるものの、適用事例で社会適応スキルの伸びが認められたことからも、支援パッケージの効果は認められたと考える。 ④学校種や年齢段階、障害種などを広げてデータを収集し、本研究で検討できなかった2タイプを含め、類型を考慮したASA支援パッケージの有用性について整理を行う必要がある。また、コンサルテーション要因のコントロールについても検討すべきと考える。
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