成人吃音者の言語処理特性について、事象関連電位記録(ERP)の方法を用いて検討した。被験者は成人吃音者 15 名(男性 11 名、女性 4 名)と成人の非吃音者15 名(男性 9 名、女性 6 名)であった。意味が逸脱した標的語を文末に配置した逸脱文 60 文とそれに対応する正文 60 文とを、刺激文としてパソコンのモニター上に提示し、標的語に生じる脳波を記録した。 その結果、 吃音者は非吃音者に比較して N400 に減衰が観察された。 P600においては、吃音者は 600 ミリセカンド以降の脳波の振幅に増加がみられた。これらの結果から、発語を伴わない場合でも、吃音者は非吃音者と異なった言語処理をおこなっていることが明らかになった。
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