研究概要 |
これまで2年間の成果をまとめて、渡部昭男編『日本型インクルーシブ教育システムへの道-中教審報告のインパクト-』(三学出版、2012年10月)を出版した。この出版は、特に「就学指導から就学相談・修学支援への転換」に関する最新の論議を整理し、諸外国からの示唆も分かりやすくまとめたものとして、反響があった。 加えて、1)日本教育学会第71回大会(名古屋大学、2012年8月)においてラウンドテーブル「日本型インクルーシブ教育システムへの展望-中教審特特委員会の2012年最終報告を諸外国の状況から読み解く-」を共同開催するとともに、テーマ型分科会「B-7 差別問題と教育」において「障害者権利条約の批准に向けた国内教育法制の整備課題-インクルーシブ教育と合理的配慮-」の発表を行った。また、2)日本特別ニーズ教育学会第18回大会(高知大学、2012年10月)においてラウンドテーブル「中教審特特委員会に係る学校教育法等の改正」を共同開催するとともに、公開シンポジウムの招聘講師として「中教審特特委員会報告と通級・特別支援学級・特別支援教室」のタイトルで報告した。「排除から包摂へ」という大きな政策転換にあたり、就学・進学などの移行支援や関連する市町村システムの具体的な仕組み・法制度の在り方を提示するよう努めた。 そして、「2012年度における「就学指導委員会」等に係る調査」を、47都道府県、1,773市町村および23特別区の自治体(教育委員会)を対象に悉皆で実施し、「就学指導から就学相談・修学支援への転換」に係る実態・意向の把握に努めた。この調査のまとめは現在進行形ではあるが、その結果はさらなる継時的・継続的な調査のベースラインをなすものと期待される。
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