研究課題/領域番号 |
22531068
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 雅彦 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20252819)
|
研究分担者 |
加藤 哲文 上越教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90224518)
松岡 勝彦 山口大学, 教育学部, 准教授 (70312808)
|
キーワード | 特別支援教育 / 行動面の問題 / コンサルテーション |
研究概要 |
特別支援教育において教師が最も指導困難を感じる「行動上の障害」については、現在、担任支援として様々な校内支援体制の整備、巡回相談による外部コンサルテーションが行われている。行動障害に対する巡回によるコンサルテーションの有効性は、いくつかの研究によって示されているが、行動障害に対する過去5年間の学会発表や学術論文の実践研究の分析結果(井上ら2009)からは、専門家による巡回回数が20回を超えるような研究が多くコンサルタントの養成や効率的なコンサルテーション方法の確立が望まれる。 本研究では、行動問題に対する有効なコンサルテーションを行うために、子どもの側の要因、学校側の要因、巡回するコンサルタントの要因から検討を行い、アセスメントと支援のためのツールを開発しその有効性を検証することを目的とする。 本年度は巡回相談のための支援ツール活用の事例研究として、小学校通常学級への巡回相談担当教師を対象として機能分析に基づいた「ストラテジーシート」を活用したコンサルテーションを実施し、その効果について検討を行った。1回目の授業では、担任教師の対象児童への称賛の声かけは見られなかったが介入後の2回目以降の授業では,個別・全体への称賛が19回に増加し、対象児童がよい行動をしたすぐ後やどこがよかったか具体的に伝えることができていた。また事前の手立てとしての環境整備、スケジュール、掲示物、タイマーなどの視覚的支援の導入、提出物置き場や学習の約束などの手立ての変化が見られた。事後アンケートも「児童に接するときの参考になった」「その子どもの行動は何を表しているのか考えてみるようにした」「学年団で相談を受けたときABC分析の考え方で一緒に機能を考えたり,対応を考えたりした」などが得られた。次年度は巡回担当教師向けの研修プログラムを実施し、事例を重ねて本システムとツールの効果を検証していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者の地域自治体・学校から協力が得られているため
|
今後の研究の推進方策 |
行動障害に関する巡回相談の有効性を高めるツールとして機能分析(Functional Analysis)に基づく「ストラテジーシート」の効果が示唆された。本年度はより一般性を高めるために地域自治体と連携して複数事例による検討を行い、効果的な巡回相談システムの構築について検討していきたい。
|