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2010 年度 実績報告書

広汎性発達障害児の語用論的能力へのエビデンスに基づいた支援に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 22531075
研究機関東京未来大学

研究代表者

伊藤 恵子  東京未来大学, こども心理学部, 教授 (80326991)

キーワード広汎性発達障害児 / 支援 / 指示詞 / 語用論的能力 / エビデンス / CHILDES / コミュニケーション / 自然発話
研究概要

広汎性発達障害(PDD)児に対しては,さまざまな支援が試みられ,一定の効果が報告されているが,日常生活への般化に関するデータは少なく,十分な科学的検証に基づいた支援は必ずしも多いとはいえない(Rao, et al. 2008)。特に自閉症児において顕著な問題が見出されている語用論的能力(Wetherby & Prutting, 1984)への支援に関しては,日常のコミュニケーションでの効果の検討は欠かせない。
本研究では,PDD児の語用論的能力に対するエビデンスに基づいた支援へとつなげていくことを目的として,かれらの自然発話と非言語行動の分析及び実験により,指示詞と新旧情報の区別の側面から語用論的能力の特徴とその関連要因の解明を行うこと,さらにかかわり手のかかわり方の相違がそれらの特徴へ及ぼす影響を検討する。
当該年度は,母子の自由遊び場面の自然発話データを収集し,順次CHILDESのデータファイルを作成した。また,定型発達の成人及び対象となるPDD児と生活年齢をマッチングさせた定型発達児を対照群として,指示詞の指示対象を特定する際に言語情報と非言語情報をどのように活用するかを調べた。具体的には言語情報と非言語情報(視線・指さし)で異なる情報を与えた場合,どのような反応を示すかを指示詞の理解実験により検討した。その結果,PDD児は話し手の視線や指さしを非言語的手がかりとして使用する能力が弱いことが明らかとなった。理由として,(1)話し手の視線や指さしの方向を特定することに失敗したPDD児がいたこと,(2)視線や指さしから話し手のコミュニケーション意図を理解できないPDD児がいたことである。これらは適切な言語の学習を妨げ,語用論の問題とも関連する可能性がある。PDD児への支援に際し,その場に即した適切な言語の獲得といった表層的行動を扱うだけでは十分でなく,言語獲得の基礎になる社会性の育成に重点的に働きかけることの重要性が示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (6件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 社会性につまずきのある小学校低学年児童への支援の試み-小学校内でのソーシャルスキル・トレーニング実践-2011

    • 著者名/発表者名
      大橋 恵,坪井寿子,藤後悦子, 伊藤恵子,山極和佳,府川昭世
    • 雑誌名

      東京未来大学研究紀要

      巻: 4 ページ: 65-75

  • [学会発表] 視線方向と指さしの統合的利用:定型発達児と自閉症児の比較2010

    • 著者名/発表者名
      安田哲也, 小林春美, 伊藤恵子, 高田栄子
    • 学会等名
      日本認知科学会第27回大会(JCSS 2010)
    • 発表場所
      兵庫県, 神戸市
    • 年月日
      20100917-20100919
  • [学会発表] 小学生への社会的スキルトレーニングの効果-小学校低学年に対する実践報告-2010

    • 著者名/発表者名
      大橋恵・坪井寿子・藤後悦子・山極和佳・府川昭世・伊藤恵子
    • 学会等名
      日本心理学会第74回大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] 指示詞コソアの理解における非言語的手がかりの影響(5)-自閉症児の場合-2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤恵子
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第48回大会
    • 発表場所
      長崎大学
    • 年月日
      2010-09-19
  • [学会発表] 特別支援対象児に対する教育効果の多面的検討-個別支援を行った一事例をとおして-2010

    • 著者名/発表者名
      山極和佳・伊藤恵子・坪井寿子・藤後悦子
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第48回大会
    • 発表場所
      長崎大学
    • 年月日
      2010-09-19
  • [学会発表] 発達障害児を対象とした集団における対人関係支援-自己理解・他者理解の深まりを求めて-2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤恵子(自主シンポジウム話題提供者)
    • 学会等名
      日本心理臨床学会第29回秋季大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2010-09-03
  • [学会発表] アスペルガー障害児における動詞の項の省略と語彙化のパターン2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤恵子
    • 学会等名
      日本コミュニケーション障害学会第36回学術講演会
    • 発表場所
      姫路市市民会館
    • 年月日
      2010-05-30
  • [図書] 保育カウンセリング2010

    • 著者名/発表者名
      藤後悦子編 伊藤恵子分担執筆
    • 総ページ数
      197
    • 出版者
      ナカニシヤ
  • [図書] 学校と子ども理解の心理学2010

    • 著者名/発表者名
      清水由紀編 伊藤恵子分担執筆
    • 総ページ数
      157
    • 出版者
      金子書房
  • [図書] 障害児心理学2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤恵子・靭負正雄
    • 総ページ数
      169
    • 出版者
      東京未来大学

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公開日: 2012-07-19  

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