研究概要 |
平成22年度は,保育者用の児童虐待防止活動包括プログラムの基礎となる保育者の技量(知識,スキル)モデル作成のための基礎的調査を実施した。1.虐待防止において関係機関と協働する保育者の技量に関する概念モデルの作成【面接調査】調査対象:A市子育て支援課こども相談係に勤務している保育士15名。半構造化面接の結果:児童虐待防止活動において,関係機関と協働する保育者の技量内容について聴取した。言語データをKJ法により分類した結果,保育所の位置づけ,関係機関・支援者の理解,協働プロセス,発見と通告,ケース協議,親支援,子ども対応の7つの技量領域が特定された(日本発達心理学会発表)。この技量をモデル化し,そのモデルに対応した尺度項目を設定した。2.問題アセスメント及び苦情処理からなる問題処理技量の概念モデルの作成【文献研究】対象文献:苦情やクレーム処理に関する市販のテキスト(教育・保育領域14冊,ビジネス・経済領域14冊)から,支援者の対応プロセス及び対応行動に関する記述を抽出した。これらの記述から,対応プロセス(予防,アセスメント,問題解決,事後)を仮説化し,プロセス全体及びプロセス別の技量をモデル化した。3.概念モデル適合性の予備的検討【実践での調査】関係機関との協働に関して現職保育士56名を対象に研修会を実施しその前後に技量尺度29項目の回答を求めた。その結果,本研究課題での仮説の通り,関係機関・支援者の理解,協働プロセスの2領域が特に低いことが示された(九州心理学会発表)。【面接調査】調査対象:保育所と幼稚園の主任2名を対象に問題処理技能の技量モデルが保育場面に適用できるか半構造化面接により検証を行った。アセスメントと問題解決プロセスに修正が求められた。
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