研究概要 |
本研究では,ダイナミカル・ヤン・バクスター写像に付随して定義される双亜代数がホップ亜代数となるための条件を明らかにすることを主な研究目的としている.当該年度に実施した研究により,この目的は概ね達成されたと考えている.達成した方法は,論文[1]の方法を発展させたものである. さらに,この条件を満たすようなダイナミカル・ヤン・バクスター写像を,具体的に構成することにも成功した.本研究の成果は,新たなホップ亜代数を生み出した点で重要である. 加えて,当初計画していた,表現全体のなすテンソル圏の対象および射に対しそれぞれ双対を定義することにも,ある程度成功しつつある.これは,表現全体のなすテンソル圏がrigidとなることを証明するための重要な第一ステップである. 当該年度には,上記成果以外にも,ダイナミカル・ヤン・バクスター写像を新たに構成することに成功した.その構成手法がどのテンソル圏でも通用することから,1つの普遍的な構成方法を与えたという点で意義があると考えている.この成果は共同研究という形で論文にまとめてあり,現在投稿中である. [1]Etingof, P., Varchenko, A.: Solutions of the quantum dynamical Yang-Baxter equation and dynamical quantum groups, Comm. Math. Phys. 196(3)(1998), 591-640.
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