研究概要 |
本研究は,実簡約リー群の特異ユニタリ表現に対して,良い実現(モデル)の理論を当該表現に付随する幾何学的不変量を駆使して築くことを主な研究目的とし,ユニタリ最高ウェイト表現・四元数離散系列等に対するテータ対応等の研究を深めることにより,リー群の無限次元表現論の深化・発展を目指している. 本年度実施した研究において,研究代表者は,(1)特異ユニタリ最高ウェイト表現について,テータ対応の拡張に関するDvorsky―Sahiの理論のフォック模型版に完全に構築し,当該(g, K)-加群に対する等方表現が拡張テータ対応を与えることを示した.(2)四元数型冪零軌道の固定部分群と許容データを同定し,実階数4の例外型単純群の特異四元数型ユニタリ表現が四元数型冪零軌道の量子化として得られていることの証左を得た(朱富海との共同研究).(3)二重旗多様体の軌道が有限となるためのある十分条件(連携研究者西山らによる)が成り立つ場合を特定する定理に,統一的かつ簡明な証明を与えた. 上記の研究を実施するに当たっては,"International workshop on representation theory and harmonic analysis"(南開大学),"Topics in the theory of Weyl groups and root systems"(東京大学),"Geometric/categorical aspects of representation theory"(北海道大学)の国際会議,「2011年度表現論シンポジウム」(和歌山県),「20l1年度表現論ワークショップ」(鳥取市)等の研究集会を活用し,H. -Y. Loke (NUS), J. A. Wolf (Berkeley),落合啓之(九州大学)をはじめとする専門家と研究打合せを実施した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
簡約リー群の特異ユニタリ表現(特異最高ウェイト加群及び四元数型特異ユニタリ表現)に対するモデル理論の構築について,「研究実績の概要」(1),(2)に記したとおり,表現の幾何学的不変量及びテータ対応との関係を明らかにする良好な研究成果が得られていることから,本課題研究は当初の計画どおり,順調に進展していると判断した.
|