研究課題/領域番号 |
22540004
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
竹ケ原 裕元 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10211351)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 対称群 / 環積 / 準同型 / 母関数 / p進解析関数 |
研究概要 |
2つの巡回p群の直積Pから、位数pの巡回群のn次対称群による環積への準同型の個数f(n;P)に関してp進的な性質を得た。具体的には、Pの元の最大位数をpが割り切るべき数をu、nをpのu乗で割るときの商をy、余りをrとするとき、f(n;P)をあるp進解析関数g(X;r)に対するX=yでの値g(y;r)により表した。さらにf(n;P)を割りきるpのべき数を評価し、それが非常に簡明な式で与えられることがわかった。このことは、p=2,3の場合の例外的な場合を除き得られたが、その結果は、Pからn次対称群への準同型の個数に関する結果と類似しており、予想されたものとなっている。また、巡回p群から、位数pの巡回群のn次対称群による環積への準同型の個数に関するp進的な性質の一般化として、期待された自然なものとなっている。 研究過程で用いた手法として特筆すべき点として、これまでに扱われたことのないp進整数を係数とする形式的べき級数を導入し、それを従来のArtin-Hasse exponentialの代わりに応用することができたことがあげられる。このことは、知られていたf(n;P)の母関数が相当に性質のよいものであったことを意味している。また、用いた手法や得られた結果は、一般の有限アーベルp群から、位数pの巡回群のn次対称群による環積への準同型の個数に関するp進的な性質、あるいは、p=2の場合に、Pから位数2の巡回群のn次交代群による環積への準同型の個数に関する2進的な性質の研究に関する可能性を示唆しており、極めて有意義なものといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有限アーベルp群Pから巡回p群の対称群による環積への準同型の個数に関するp進的性質を明らかにする研究目的の現在の段階として、Pが2つの巡回群の直積の場合がほぼ解決された点で、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
Pが2つの巡回群の直積の場合に、Pから巡回p群の対称群による環積への準同型の個数に関するp進的性質が得られているので、その結果をPが一般の有限アーベルp群の場合に拡張する。その際に、Pから対称群への準同型の個数に関するp進的性質に関する結果も参考にする。
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